英語解説
2021年4月22日
【実体験】中東の職場経験を公開!海外就職に興味のある方必見!

皆さん、こんにちは!
ステューデイアス英語学院代表のHankです。
今日は、海外経験豊富な当学院のスタッフに「中東の職場」について、記事にしてもらいました。
なかなか中東での就業経験を持つ人も少ないと思うので、他には無い記事になっています!
ぜひ最後まで楽しんで読んでくださいね!
それでは、早速行ってみましょう↓
「2006年から2018年まで、中東のUAE(アラブ首長国連邦)とカタールで働いていました」と言うと「駐在ですか?」と聞かれますが、イエイエ駐在ではありません。
俗に言う「現地採用」というものです。(ちなみにUAEもカタールも国の人口の90%くらいが出稼ぎ労働者の国ですが、現地採用スタッフは何故かローカルスタッフと呼ばれていました。)
2006年以前にもニュージーランドとオーストラリアで10年ほど働いた経験はありましたが、中東での経験はそれまでの【海外で10年も働いた経験】がほとんど通用しない、毎日がビックリの連続でした。
目次
『郷に入っては郷に従え』、でも郷ってどこの事??

海外赴任を前にした人を対象に、海外のビジネスマナーを紹介する記事では、良く『郷に入っては郷に従え “when in Rome, do as the Romans do』というテーマが紹介されます。
日本以外の国で働くのなら、その国の職場や人間関係のマナーに合わせて行動することも大切、と言うものです。
移民の国とは言え、ニュージーランドとオーストラリアにも、それぞれ特徴あるオフィス・ルールやマナーがありました。
ところが、人口の9割近くが海外からの労働者と言うUAEやカタールでは、従うべき確固とした『郷』と言うものがないのです。
10年を超える中東生活で、一緒に働いたり仕事で関わりを持った人たちの出身国は、UAEとカタールのローカルに加え、イギリス、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、スペイン、ルーマニア、ブルガリア、アルメニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、スロバキア、チェコ、ハンガリー、ロシア、ニュージーランド、オーストラリア、イラク、シリア、パレスチナ、ヨルダン、エジプト、アルジェリア、チュニジア、エチオピア、ナイジェリア、スーダン、南アフリカ、ジンバブエ、インド、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー、中国、韓国、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、台湾、そして日本人 等々、日本で暮らしていたら一生会うことはなかったかもしれない人たちと毎日一緒に働いていたのです。
別に貿易会社で働いていたわけではありません。
母国語も宗教も価値観も全く違う人たちが、ただ『働く』と言う目的のためだけにやってきて、プロジェクトが完了したら別の会社若しくは別の国に移っていく。
そんな環境で皆が曲がりなりにも同じ方向を向いていられる根底を形作っているのは、ビジネス言語としての『英語』だと言えるでしょう。
クライアント(殆どの場合はローカルのアラブ人)と常時行動を共にする立場でない限り、UAEでもカタールでもアラビア語は必要ありません。
そして、ローカルでなければ、レベルはまちまちですが皆英語を話します。
「間違えたら恥ずかしいから」などど言っていては死活問題にもなりかねませんから、皆さん言いたいことはいくらたどたどしくてもしっかり言うのです。
Trust no one but respect everyone(誰も信じるな、でも尊重することは忘れるな)
これは ”Workplace Rules for a Happy Life(楽しい生活を送るための職場のルール)” というインターネット記事の中で最初のルールとして紹介されています。
つまり、ハッピーであるためには、一番大切なルールというわけですね。
If I don’t trust myself to some extent, then I shouldn’t trust anyone but that can’t stop me from respecting people even at the workplace.To be with a mutual understanding, respecting one another is a very good thing.
和訳
自分の事だって全部は信用できないんだったら、他人の事なんて信じられない。だからって職場でだって人を尊敬するってことはやめられないよ(人の事は尊敬すべき)。相互理解を持って、お互いを尊重することは非常に大切な事なんだ。
海外から働きに来ている人で、中東で永住しようとかその国の発展に貢献したいとか、崇高な理想を掲げている人は極まれでした。
自分の将来のキャリアアップに役立てるため、できるだけ “well known International company :名前の良く知られた多国籍企業“ でなるべく長い年月働いたという実績を作ることに、かなりのエネルギーを注ぎます。
私がカタールで働き始めた頃は、2022年サッカーワールドカップの招致が決まり、ワールドカップ開催までにインフラやら会場建設やらを終えなければいけない、まさに待ったなしのタイミングでした。政府は、海外から有資格や経験豊富なエンジニアやプロジェクト・マネージャー(PM)を雇用することに力を入れていました。
有資格のエンジニアやPMと言えば、当時ヨーロッパ人の独壇場でした。
本社の社長よりもPMの方が給料が高いなどという会社もあったほどです。
(今ではこれはほぼ一掃され、エンジニア/ マネージャーはエジプト人、インド人、マレーシア人、インドネシア人などが多くなってきています。それに伴って給与水準も下がっています。)
カタールでは、会社ごとに労働ビザの割り当てがあり、人種・性別・職種・役職により発行できるビザの数が決まっています。
例えば、イギリス人・男性・PMビザ枠1名、インド人・女性・会計士ビザ枠5名、という具合です。
もしも雇用を決めた人がこのビザ枠に当てはまらない場合(PMで男性だけどカナダ人だった、と言うような場合)には、会社の “PRO=Public Relations Officer” に頼んで、別枠を申請してもらわなければなりません。
PROというのは、ビザの申請や会社登記の更新、はたまた社有車の登録から警察にご厄介になった場合のやり取りまでこなし、役所や他の会社に強いネットワークを持つ、ちょっと怪しげな、英語とアラビア語が堪能な専門職のスタッフのこと。このPROが有能かどうかで会社がスムーズに回っていくかどうかが決まります。
自分が保有しているビザの種類によって、車の運転が許可されたり、家族を呼び寄せることができたり、お酒を購入するライセンスが取れたりするので、皆できるだけランクが上のビザを取ろうと頑張ります。
そこで色々な悲喜こもごもが起きてくるわけです。
ビザを発行する役所の方も、明確な基準がなく英語に堪能な係官も少なかったのでしょう、3ヶ月の “Maintenance Engineering Course(ビルの修繕課程)“ の修了証を提出したら “Engineer Visa(エンジニアビザ、かなりランクが上のビザ)” が出てしまった、などと言うことも聞きました。
彼は大規模開発プロジェクトの “Engineering Manager(建築設計図に関する責任者)” として雇われましたが、まぁ長続きしなかったのは想像通りです。
母国イギリスでは、煉瓦工だったり大工だったりしたのに、中東に来ていきなり高層ビル建築現場の現場監督・建築責任者になってしまった人、なども少なからずいました。
人事担当であった私が、
”Can you submit your qualification paper? (資格が証明できるものを提出してくれない?)“
と頼んだら、
”I don’t have any. I have an experienced based background. 資格を証明するものはないんだ。僕は経験だけしかないから。”
ときっぱり答えた人もいました。
正直に資格がないと言う人はまだ良い方で、人事担当の頭を悩ませたのが、『学歴詐称』でした。
30分ネットで質問に答え、自分の経験をインプットするだけで、大学院卒業の資格が取れるというのですから、ついつい手を出してしまう人が後を絶ちませんでした。
当時でも、海外で発行された大学の卒業証書は、正規のものであるという証明を公的機関から受けたうえで会社に提出しなければいけませんでしたが、ネットで大卒資格を買おうなどと考える人たちは、ここでも人事スタッフの一歩も二歩も先を行っていました。
彼らは、自国の公証人役場に偽の大学卒業証明書のオリジナルと複写を持ち込み、コピーの方に
”I certify this to be a true and accurate copy of the document shown and reported to me as the original.
原本と共に提出され、報告された文書の正確な複写であることを証明します。“
という文言と共に立派なスタンプと公証人の署名が入ったものを手に入れます。
公証人役場は、オリジナルとコピーは同じものだよ、と言うことを証明したにすぎません。
それを、あたかも「公証人役場が、この卒業証明書は正規の教育機関から正当に発行されたものであると証明した」かのように見せかけて提出するのです。
残念ながら、この手はもう通用しません。
あまりに口ばかり達者で、専門知識に乏しい自称『エンジニア』や『PM』が増えすぎてしまったおかげか、プロジェクトの遅延が目立ち始め、業を煮やした政府が手続きを厳格化したのです。
ビザ手続きを開始する前に、卒業証明書は自国の教育省と外務省から認証を受け、その認証スタンプをカタール入国後にカタール外務省で再認証しなくてはいけない、という手間と時間がかかるものになったのです。
エンジニアに関しても、独自の ”Certificate(証明書)” の発行を開始しました。
こちらなどは、カタールの “Engineering Committee(エンジニアリング委員会)” にリストが載っている大学の卒業生でなければ、受験資格さえもらえません。
その当時のエピソードを話し始めたら、終わりそうにありません。
最初は2-3年のつもりで中東に出かけたのに、気がついたら10年以上たっていました。
さいごに

中東は危険では、と思われるかもしれませんが、UAEもカタールも非常に安全で毎日の生活にも何の不安もありませんでした。
外の気温が50度を超える真夏にスキードバイでスキーに興じる人たちを眺めたり、ドバイのブルジュ・アル・アラブの高層階のバーでカクテルを楽しんだり、仕事でオープン前のブルジュ・ハリファの150階まで登ったり、と人生一度の経験が沢山出来ました。
イスラム教の国なので、イスラム教徒は会社の勤務時間内でもお祈りできたり(一日中いつでもお祈り中と言う猛者もいました。。。)、ラマダン(断食月)の間はイスラム教徒だけ勤務時間が短くなったり、日中気温が50度を超えると外での仕事はできなくなったり、とびっくりすることも沢山ありました。
このワンダーランドでの大冒険の様子は、また機会があればお伝えしたいと思います。
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